『無人島のふたり』 山本文緒

山本文緒さんの『無人島のふたり』を読んだ。

文緒さんが、癌を告知されてから

亡くなる直前まで綴っていた日記だ。

 

数日前にタレントのりゅうちぇるさんの死を知って

そのことについていろいろ考えていることを

YouTubeで自分の言葉で発信しようとしたけど

どうもまとまらず、そういえば、と本棚を見たら

この本と目が合った。

 

図書館の本で次に読む人が待っているから

どの本よりも先に読まなくちゃと思い

本棚の目立つ場所においておいたのだ。

 

あたしは母を膵臓癌で亡くしている。

母の時と重ね合わせながら読み進めていった。

文緒さんの日記なのに母に想いを馳せることになった。

文緒さんもまた、自分の母親との間に

何かがあったらしい。

 

余命宣告を受けた娘と2ヶ月も連絡を取らないなんて

余命宣告を受けても母親を恋しく思わないなんて

もうそれだけで、その何かがわからなくても

関係性を想像してしまった。

 

残り少なくなった本の残りのページを見たら

無性に泣けてきた。

 

文緒さんの最後の文章で母との最後の会話を思い出した。

ぼんやりテレビで動物番組をみている母に

「見ずらくない?」ときくと「うん」と

テレビから視線を離さずに小さな声でこたえてくれた。

 

母は薬で朦朧としていて

会話ができる状態ではなかったようだけど

痛みからは解放されていたと思う。

 

文緒さんが愛する夫と最期の日々を過ごせたことを

不謹慎にも羨ましいと思ってしまった。

 

孤独に一人で誰かに憎まれながら生きるのと

まだ死ぬには若いけど愛する人に看取られるのと

どっちがいい?

 

 

 

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